自分が鍼灸師として働き出して働いた鍼灸整骨院の頃のお話をします。
その鍼灸整骨院は年中無休の店舗でした。
常勤やアルバイト、パートの鍼灸師が多いため、特に治療のやり方は
規定がないため、治療のやり方はその先生に任されていました。
その時の院長の治療は私にとっては目にウロコで、
「痛みを徹底的に取る」鍼治療でした。
まさに私の治療のルーツかもしれません。
私は院長の治療風景を見学させてもらいました。
刺し方、深さ、角度、場所
一つ違うだけで効果は大きく変わります。
もちろん院長の鍼も何回も受けました。
刺す場所の筋肉や微妙な得気(鍼を刺した瞬間に響く感じ)は絶妙でした。
ある日院長が急遽体調不良で休みになったので、院長に患者さんを
私が担当することになりました。
院長の担当する患者さんは凝りが本当に深く、難しい症状の方が
多かったのです。正直かなり緊張しましたが、いつも院長の横で
見学していたので、やり方を見ていたため、見よう見まねで
何とか、やり遂げることができました。
ただこの完璧じゃないところが自分には悔しくもありました。
患者さんからしたら同じ料金出すのに、院長じゃなくて若造に
してもらったら、完璧じゃなく終わった結果になったからです。
そして院長にもう一度お願いして、同じ患者さんの時に見学しました。
今度は患者さんにも頼んで、細かいところまで入念にチェックしました。
その後また院長が休みでたまたまその患者さんが来院されたため
自分が治療に当たりました。今回は前回と違って気合が入ってました。
自信もあったので、自分の力を出します。
すると患者さんも前回と全く違って満面の笑みでお礼を言って頂きました。
これは正直鍼灸師になって初めての嬉しいことでした。
この出来事は20年以上経ちますが未だに忘れられない出来事です。